2015年5月8日発行

【ベルギー便り しなやかで強かな女性外交力】④〜ベルギー人はリッチで無類のアート好き?

一流の美術品とアンティークのみが出展を許可される世界でも最も権威あるアート&アンティーク・フェア

【5月8日、mulan=マーストリヒト】


■お金持ちが自家用ジェットでやって来る


何かわかりにくいですが、Art Brussels、Art Antwerpとなると少しわかりやすくなってきて、さらに、Affordable Art Fair、Accessible Art Fairなどはわかりやすい名称かと思います。すべてベルギーで行われているアート・フェアです。

お隣のオランダでは、TEFAFマーストリヒトという、一流の美術品あるいはアンティークのみが出展を許可される世界でも最も権威あるアート&アンティーク・フェアが開催されています。

マーストリヒトまでは実はブリュッセルから車で2時間もかからない距離。以前から、TEFAFに浮世絵を出展されている日本人が経営されているパリの有名なギャラリーからご招待をいただいていたので、せっかくの機会ということで、最終日に駆け込みで行ってみました。

特に招待客のみの初日は、多くのお金持ちが自家用ジェットで乗り付けるなどしてやってくるそうです。

シャガール、ピカソ、マグリットなどの絵画、ドガの彫刻から、草間弥生や村上隆の作品、50カラットのダイヤモンド、ローマ時代の遺跡の一部・・・。並の美術館よりもよほどものすごい価値のある作品が手に取れる近さに並んでいるということで、まさに目の保養、でした。

ちなみに、パリのギャラリーから以前のTEFAFで出展されていた浮世絵コレクションは、ルーブル美術館が購入したそうです。


■ベルギーはアート・フェアの嵐


ベルギーでこのTEFAFに近いものがBRAFA。パリのギャラリーの方にもこちらでお会いし、TEFAFへのお誘いをいただきました。TEFAFに行ってみると、お隣とはいえ、ベルギー・ナンバーの車がかなり停まっていて、ベルギー人の来場者が多いことがわかります。

BRAFAはTEFAFと比較すると規模が小さいとはいえ、そもそもベルギーという小国でこれだけアート・フェアが数多く開催されているということが驚きです。

街中を歩いても、ギャラリーが多いことに気づきます。ギャラリーは、アンティークを扱うものと、コンテンポラリーを扱うものとで集中している地域が異なりますが、特に、アンティークを扱うギャラリーはサブロンといわれる中心地域に集中しています。グラン・サブロン広場では、週末はアンティーク市も行われています。

この地域だけで150のアート・ディーラーがいるのだそうです。確かに、秋に開催されるLes Nocturnes du Sablonというギャラリーの夜間オープニングのイベントに参加しているギャラリーの数だけでも相当なものでした。

美術館とアート・フェアやギャラリーの大きな違いは、作品を購入できるところです。

特に、Affordable Art FairやAccessible Art Fairはまさに身近で手の届くアート。ベルギーではアンティークはもちろんですが、コンテンポラリー・アートも大変人気で、アートがとても身近な存在なのだと感じます。

ブリュッセル市内にある執務用の王宮が夏の一時期一般公開されますが、訪れた際に、一室が、ベルギー人の有名アーティストであるヤン・ファーブルのアート作品に仕立て上げられていたのには本当に驚きでした。シャンデリアや天井に玉虫の羽が一面中貼り付けられているためまさに玉虫色。

最近はパリでもギャラリーが結構閉められているそうです。そんな中、ベルギーのギャラリーが健在なのは、ベルギー人のアート好きとそれを支える財力がある、という証左なのでしょうか。【了】


※筆者の個人的な見解で、所属する組織の公式見解ではありません。



1995年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、外務省入省。1996-1998年、英国ケンブリッジ大学留学、その後、英国、ブルネイでの在外勤務を経験。東京ではアフリカ、西欧、経済連携協定、ユネスコなどを担当する部署で勤務。2014年1月にベルギーに赴任、広報文化全般を担当。

TEFAFに出展されていたチョコレートの宝石箱を思わせるアート

いくら見ても飽きない色鮮やかさと美しさ

ベルギーのBRAFAも負けてない

訪問客がひっきりなしにおとずれる


栗原恵津子 ベルギー便り 政治・経済 外交 マナー