2016年12月14日発行

【ベルギー便り しなやかで強かな女性外交力】㉓〜日本・ベルギー150周年ならではのクリスマスイベント

グランプラスのツリーと市庁舎のライトアップ/著者撮影

【12月14日、mulan=ブリュッセル】


カトリックの伝統を大切にするベルギーでは、早いところでは11月末からクリスマス関連のイベントが開始されます。クリスマスを彩るものといえば、なんといってもクリスマス・ツリー。クリスマス・ツリーはドイツで生まれたそうですが、ベルギーの街中でも、広場、店頭、オフィス・ビル、個人宅と本当に数多くのツリーを見かけます。

特に有名なのは、ブリュッセルの世界遺産グランプラスの広場中央に飾られる巨大ツリー。昨年、一昨年はラトビアから、今年はスロバキアから提供され、運ばれてきています。ベルギーにクリスマス・ツリーがないから、ではありません。実は、ベルギー、小国ながら、クリスマス・ツリーの生産量はデンマークに次いでヨーロッパ第2位を誇っているのです。年間出荷量は300-400万本で、多くが近隣国に輸出されています。

日本では、12月25日が終わればすぐにクリスマス・ツリーは片付けられ、門松などお正月飾りの出番となるわけですが、ベルギーでは一般的に1月6日頃まで飾られています。1月はじめ、街角のあちこちにクリスマス・ツリーが捨てられている光景を最初に目にしたときは、心が痛みました。飾りを外されたモミの木が道ばたにむき出しで横たわっている姿は、寂しさをそそります。お役御免となったクリスマス・ツリーの末路はどうなるのかというと、1月の指定された2日ほどの収集日に、クリスマス・ツリー専用収集車がやってきて、回収していくのです。「緑のゴミ」にあたるクリスマス・ツリーは、「緑のゴミ捨て場」に運ばれて、堆肥となるそうです。ちなみに、庭のお手入れででてくる枝葉や芝生も「緑のゴミ」になりますが、クリスマス・ツリー以外は、専用袋を購入して、やはり月に2回ほどの指定日に回収してもらう必要があります。クリスマス・ツリーは袋いらずの特別扱いということになりますが、要はこの指定日を逃してしまうと、処分が大変、ということになります。

クリスマス・ツリーとともに、この暗くて寒い時期、心躍り、暖かい気分になれるのは、街中を明るくするライトアップ、イルミネーションです。ブリュッセルでも、グランプラスを中心としたエリアで、毎年、Plaisirs d’Hiver (「冬の喜び」、英語ではWinter Wonders)というイベントが行われています。今年の開催は11月25日から2017年1月1日まで。テロの影響で観光客の減少に悩むブリュッセル市は、このイベントに相当力を入れているようです。商店街や街路のイルミネーションはもちろんですが、目玉となるのは、グランプラスと周辺の建物を舞台にしたプロジェクション・マッピングです。今年は、日本・ベルギー友好150周年にあわせて日本が招待国となっているので、サン・カトリーヌ教会で、日本をテーマにした「Origami Lights」のプロジェクション・マッピングが行われています。西欧の教会のファサードに鳥居が現れ、日本への旅が始まり、日本の美しい自然、伝統文化、現代を象徴するような場面が展開していきます。サン・カトリーヌ教会は、ベルギー最大の約200店舗のクリスマス・マーケットが広がるサン・カトリーヌ広場横に位置します。クリスマスの定番vin chaud(ホットワイン)を片手に、エキゾチックなひと味違うクリスマスを楽しめるという趣向です。

ブリュッセル以外でも、アントワープ、ブリュージュ、ハッセルト、リエージュなど、各都市で大規模なクリスマス・マーケットが開催され、スケートリンク、大観覧車、メリーゴーランドなども設置されます。クリスマスが近づくこの時期、子どもならずとも、クリスマスモードに変わっていく街にわくわくさせられます。日が短く、寒いので、ベストシーズンではありませんが、ベルギーのクリスマスを体験しにくるのも、悪くないのでは、と思います。【了】

※筆者の個人的な見解で、所属する組織の公式見解ではありません。


栗原恵津子(くりはら・えつこ)
1995年慶應義塾大学法学部法律学科卒業、外務省入省。1996-1998年、英国ケンブリッジ大学留学、その後、英国、ブルネイでの在外勤務を経験。東京ではアフリカ、西欧、経済連携協定、ユネスコなどを担当する部署で勤務。2014年1月にベルギーに赴任、広報文化全般を担当。

クリスマス・マーケットの大観覧車/著者撮影


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